
今年は、イチローの決勝打によるWBCの日本の優勝から始まり、ワールドシリーズの松井のMVPでしめた、
野球ファンにはいい1年だったのではないでしょうか。
その晩秋に、お誘いがきました。
母校大学の野球部から、市川のグランドに新しい土を入れて整備したので、
OBの親睦の試合をしたいと言うのです。
もう何年も野球なんてしていません。
さすがに体力的に無理だし、怪我したら大変と否定的な思いがめぐりました
今では、三度の飯が唯一の生きがいですが、学生時代はそれより好きだった野球。
やっぱりやってみたい。
天気に恵まれ、さらさらの土が入ったグランド。
願いはクリーンヒットを打つこと。
私の野球の原点は、アニメ「巨人の星」で、花形満が鉄球鉄バットの地獄の特訓の末、大リーグボールを甲子園のレフトスタンドに叩き込んだホームランです。
花形満のような長距離打者にはなれませんでしたが、好投手を打ち崩すヒットは気持ちがいいものです。
そして第2打席、振りぬいた打球はレフト前ヒット。
真芯でとらえた感触は本当に快感です。これで満足です。
自分でも驚く広いスタンス。
足腰が弱って、自然と安定させるためになっているのか。
打った!と見えるが、打球は左下でバウンドしている。
3打席目のショートゴロ。バットの先端だった。
帰りの電車の中で考えていたのは、チャンスで巡ってきた最後の打席のこと。
ここは確実にヒットになるようにと丁寧に打った打球はセカンドゴロ。
これは、レギュラーをとれなかった高校1、2年の時の結果だけを求めた迷いの多い打撃と同じです。
その後の人生で、思い切って行けば結果は後からついてくると学んだはずなのに。
願わくは、もう一度だけ打席に立ちたい。
そして、球に当らずとも、魂をこめて渾身のフルスイングをしたい。