手術の創(きず)や経過について

手術の創(きず)について

創をすべて縫い閉じずに開いておく半閉鎖法

肛門は日々の排便で便が通過するので、菌がたまりやすい場所です。
そのため、肛門の手術では手術創が化膿しないよう、創をすべて縫い閉じずに開いておきます。(半閉鎖法)
創が開いていることで菌が排出される通り道ができ、化膿を防げるのです。
同様の考え方で、裂肛や痔瘻の手術においても、菌の通り道を作るためにあえて創を作ることがあります。(ドレナージ創)

創口は開いた状態なので手術後はしばらく創口から血や浸出液が染み出ます。
手術創は内側(肛門側)から徐々に塞がっていきます。それとともに染み出る量も減っていきます。

肛門に開きっぱなしの創があると思うと、想像するだけでとても痛いですよね。
しかし、治っていない創に菌が付くともっと痛いですし、治りが遅くなります。
肛門の創にとって菌の通り道は必要不可欠なものなのです。

手術後の創のケア
清潔・洗浄

前述のように、肛門の創は菌がつきやすいので、清潔に保つ必要があります。 手術後は血や浸出液が数日間出ますので、下着が汚れないようガーゼや生理用ナプキンなどを当てて、まめに交換しましょう。
また、排便後も汚れが残らないようウォシュレットでしっかり洗い、トイレットペーパーではごしごし拭かずに、やさしく水分を吸わせます。
もし自宅にいるようなら、ウォシュレットよりもシャワーの方がしっかり洗浄できるので、シャワーで洗浄すると良いでしょう。

お風呂での洗浄

手術翌日はシャワー浴OK、手術2日目以降は湯船での入浴許可が出ます。
石鹸やボディソープは創の刺激になりますので、シャワーの水圧で汚れを落とすようにしましょう。

外用薬

注入軟膏

創に塗るための塗り薬や、注入軟膏が処方される場合があります。
塗り薬は洗浄後の創に指で優しくぬってください。綿布(ガーゼ等)に塗って創に当てても良いでしょう。
注入軟膏は容器の注入口が創に当たらないよう気を付けながら肛門内に注入しましょう。
創を触るのが怖くて薬をあまり使えなかったという方もいますが、処方された薬はしっかり使うことで治りが早まります。


手術後の排便

手術後の排便はとても痛いので、痛みを少なくし、出しやすくなるように、便を柔らかくする作用のある内服薬を処方します。
便意を感じた時は我慢せずにトイレに行くようにしましょう。我慢してしまうと次の排便が非常に大変になります。
また、手術後は痛むので力を入れずらくなりますが、無理にいきみすぎるのは創に良くありません。少しずつ出すようにしましょう。

便を柔らかくする薬は、人によって効果に差が出ることがあります。手術後は便が硬すぎても緩すぎても肛門の負担になるので、形を保てるくらいの便の硬さになるよう調節してください。

手術後に起きうる症状(合併症)
出血: 手術直後は、下着に当てたガーゼやナプキンに血が付着したり、排便後にぽたぽたと垂れるような出血がありますが、量は徐々に減っていきます。
明らかに出血が止まらないような場合や、便器が真っ赤に染まるほどの出血をした場合は、止血処置が必要な可能性があるため、すぐにクリニックまでお電話をお願いします。
また、まれに晩期出血と呼ばれる、手術後10~14日ごろに大きく出血することもあります。
その場合もすぐにクリニックまでお電話をお願いします。
腫れ: 肛門の創は、とても腫れやすいです。日々の排便のために安静にできないこと、また血流が良い部分であることなどが理由です。
手術後は創縁(創のふち)が大きく腫れますが、時間の経過とともに少しずつ腫れは引いていきます。
腫れの引き具合は個人差があり、人によっては腫れた部分が肛門皮垂として残る場合もあります。
痛み: 手術後は数日痛みがあり、特に排便時に強く痛みが出ます。
手術後は痛み止めの内服薬を処方しますので、痛みがあるときは薬を内服してください。
また、湯船での入浴許可が出て以降は血流を良くした方が痛みも緩和されるので、お風呂で良く温まるようにしましょう。
切除する手術の後で、特に排便後に痛みがあるときは、便の付着が原因のことが多いです。
まずはシャワー等で便を洗い流し、軟膏で創を保護しましょう。

日帰り手術での肛門手術は、排便コントロールや患部の洗浄、薬の使用など、術後のケアがとても重要です。
わからないことや不安なことが出てきたら、いつでもご相談ください。